アベノ中国語道場

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【文化篇】 中国陶磁の精粋~青磁~

中国は、古くから陶磁器の非常に発達した国です。そのはじまりは、紀元前1万年~7千年ごろの新石器時代までさかのぼると言われ、そのころには素焼きの「土器」と呼ばれる原始的な焼き物が作られました。その後、時代が下るに連れて技術が発展し、より複雑な技法が生み出されました。その中でも、中国陶磁の頂点にして、精粋とされるものが「青磁」です。青磁は、宋王朝(960~1279年)の時代に最も栄えた陶磁器で、特に、北宋が異民族の女真族に国を奪われ、南に遷都した南宋時代に発達しました。中国は、唐王朝以後、各時代を代表する陶磁器が生まれました。即ち、唐は「三彩」、宋は「青磁」、元は「染付け」、明清は「赤絵」です。

技法的には、使われる粘土は“高岭土”と呼ばれる白色できめの細かいもので、白色の下地の上に酸化鉄を含む釉薬が掛けられます。釉薬と粘土に含まれる鉄分(酸化鉄)が、1200℃以上の高温で焼成されることで変化し、黄色みがかった緑色から空色まで色目が変化します。色目の変化は鉄分の量によって異なります。

中国では、青磁の色は“雨过青天”と言って「雨上がりの空の色」を磁器に映しだそうとしたものと言われています。「雨上がりの空の青を自分の手で作り出したい」という古代中国人の感覚と美意識には、目を見張るものがあります。青磁には、茶碗、皿、花瓶、香炉など様々な種類がありますが、均整のとれたフォルムの美しさと、美しく深い色合いは、中国陶磁の精粋と呼ぶにふさわしいものでしょう。

 

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北宋汝官窯青磁

 

宋時代に青磁が焼かれた窯場は中国の各地に有りますが、特に南部の窯場が重要です。以下にあげるものが代表的な窯場です。

 

耀州窯(陝西省

汝官窯(河南省

南宋官窯(浙江省

龍泉窯(浙江省

景徳鎮窯(江西省

 

宋代青磁が発達した南宋の首都は、現在の浙江省杭州市に置かれていました。杭州は当時「臨安府」と呼ばれ、北方から逃れて来た北宋王朝の皇族や官僚たちが移り住んだ都です。浙江省には、当時の官窯(皇帝や朝廷で使う陶磁器を焼いた窯)や、龍泉窯が有ります。その中でも、龍泉窯は特に重要で、現在でも青磁の製品が特産品として焼かれています。景徳鎮窯が栄えたのは宋のあと、元代以降になります。景徳鎮は、色の薄い「青白磁」や、白地にコバルトブルーで絵を入れた「染付け」が有名です。

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龍泉窯青磁

中国の陶磁器は、その技法が周辺諸国へ伝えられ、特に青磁は隣国の高麗へ渡り、「高麗青磁」として独自の発展を遂げました。本家中国の青磁と異なるのは、「象嵌」という独特の技法を確立した点です。「象嵌」とは、黒土や貝殻など異なる素材を磁器の表面にはめ込む技法で、中国青磁には見られません。高麗青磁は、その完成度の高さから、本家の中国にも引けを取らない魅力を備えていると言えます。日本には、11世紀に青磁が伝えられてから、特に室町~安土桃山時代茶の湯の発達に合わせて、青磁の茶器が多く用いられました。その中でも、「砧青磁」と呼ばれる名品は、多くの茶人たちの憧れの的でした。日本でも、17世紀以降に中国を模した青磁が、有田などの窯場で焼かれるようになりました。

 

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耀州窯青磁

 現在、青磁を収蔵している博物館や美術館は世界中にたくさんありますが、本場の中国(台湾)では、下記の博物館が有名です。

 

龍泉青磁博物館(龍泉市)

浙江省博物館(杭州市)

上海博物館

故宮博物院台北

 

また、日本では東京上野にある国立博物館と、大阪中ノ島の東洋陶磁美術館に逸品が収蔵されています。