アベノ中国語道場

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【文化篇】 中国の酒と酒文化

飲酒の習慣は世界中いたるところにありますが、地域によって、酒の種類や酒にまつわる習慣には違いが有ります。中国にも独自の酒と酒文化があり、長い歴史の中で連綿と受け継がれてきました。

そこで、今回は中国酒の種類と、中国の独特な酒文化について紹介したいと思います。まず、中国酒の品種から見ていきましょう。中国では主に、“白酒”(焼酎)“黄酒”(紹興酒)“红酒”(赤ワイン)“啤酒”(ビール)の4種類の酒が飲まれています。酒の名前についている色は、見た目の色を表しています。

 

“白酒”(焼酎)

 

“白酒”は、主に中国の北方で好まれ、消費されている酒です。「白」という名前が付いていますが、実際の見た目は無色透明で、雑穀でつくられた蒸留酒です。日本の焼酎と同じ種類ですが、中国では主原料に高粱を使います。高粱は赤い実をつける雑穀ですが、高粱でつくった酒は独特の強い香りを持っています。度数は日本の焼酎と比べてもかなり高く、かつては65度の酒もありました。しかし、最近は消費者の健康を考えて、40度前後のものが主流となっています。

“白酒”の銘柄としては、海外でも有名な貴州省の“茅台酒”、北京の地酒“北京二锅头”、四川省の“五粮液”と“剑南春”などがあります。いずれも中国で非常に有名な銘柄です。

日本の焼酎は炭酸やウーロン茶で割って飲みますが、中国の“白酒”は必ずストレートで飲みます。ウィスキーくらいの強い酒をストレートで飲むので、弱い人はすぐに酔ってしまいますが、不思議と次の日には残りません。悪酔いしない特徴は、蒸留酒特有のものかもしれません。

 

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北京二锅头

“黄酒”(紹興酒

 

“黄酒”は、主に中国の南方、特に上海を中心とする江南地方で好まれる酒です。その理由は、その代表格である紹興酒が、江南の中心に近い紹興でつくられているからです。

“黄酒”はもち米を使った醸造酒で、日本酒と同じ種類ですが、色と味は全く違います。名前は“黄酒”ですが、実際の色は深い紅色で、味は日本酒と比べるとかなり濃くてコクが有ります。

“黄酒”の中でも「紹興酒」と名乗れるものは、紹興の“鉴湖”という湖の水でつくった酒だけだそうで、国の規定で定められています。その他はすべて“黄酒”と呼ばれます。

“黄酒”の銘柄で有名なものは、紹興酒の“古越龙山”、“会稽山”、“女儿红”、“咸亨”などがあります。その内“古越龙山”は日本にも輸出されていて、最も有名な紹興酒の銘柄と言えるでしょう。“咸亨”は、魯迅の小説にも出てくる“咸亨酒家”で有名です。

地元の紹興人にお勧めの銘柄を聞くと、“会稽山”と言う答えが返ってきました。しかも、5年ものがいちばん良いそうです。紹興酒はワインやウィスキーと同じく、年代ものの価値が高いですが、5年ものも20年ものも大して変わらないそうです。3年は熟成が足りず物足りないので、5年がベストというわけです。

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会稽山

“红酒”(赤ワイン)

 

“红酒”は、改革開放以後、特に2000年代以降に広く飲まれるようになった酒ではないでしょうか。特に最近では、酒席で乾杯をするときに“红酒”をよく飲みます。これも、経済発展とともに、西洋の文化が浸透してきた一例でしょう。ワインは白と赤がありますが、なぜか中国では赤ワインだけが好まれるようです。中国人が好きな「赤」色と関係があるのでしょうか?

“红酒”の有名な銘柄としては、北京の“长城”(Great Wall)、三東省煙台の“张裕”、天津の“王朝”(Dynasty)などがあります。

酒席でとくに飲まれる“红酒”ですが、質の良くない安物のワインで乾杯(一気飲み)すると、次の日の朝が頭痛で大変なことになります。安物の中国製ワインは、成分のアルコールがダマになっているものが多く、飲んだ後肝臓にかかる負担が大きいそうで、悪酔いの原因となります。中国の酒席で、“红酒”で乾杯をする時には十分注意して下さい。

ワインの生産工場は原料であるブドウの産地にあることが多く、山東省煙台の場合もそうです。中国のブドウの生産地として有名なところに、新疆ウィグル自治区があります。新疆にも“红酒”の銘柄に、“新疆伊珠”、“天塞酒庄”、“楼兰葡萄酒”などがあります。

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王朝红葡萄酒

“啤酒”(ビール)

 

中国で“啤酒”が飲まれるようになったのは近代に欧米文化が入ってからですが、今や世界のビール生産量は、中国が第一位となりました。また、それに伴ってビールの銘柄も非常に多く、各地方にいわゆる「地ビール」の銘柄があります。

中国で最も有名な銘柄は、何と言っても“青岛啤酒”でしょう。清朝末期の1903年に、ドイツの租借地である青島で創業されました。いまや世界的にも名の通った銘柄となり、中国ビールの代名詞といっても過言ではありません。本場ドイツの技術を受けついだ“青岛啤酒”は、個人的にはいちばん好きなビールの銘柄です。

その他には、北京に本部を置く“雪花啤酒”や、中国最古(1900年創業)の“哈尔滨啤酒”などがあります。地ビールとしては、北京の“燕京啤酒”、広東省の“珠江啤酒”、福建省の“雪津啤酒”などが有ります。以前にはたくさんの地ビール銘柄がありましたが、経済発展にともない、地方の弱小メーカーは、大手に吸収合併されていったようです。

中国ビールの場合は、安価な製品は度数が低く(と言うより味が薄い)、大瓶1本を飲んでもほとんど酔いません。まさに、水代わりに飲まれている感じです。

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哈尔滨啤酒

中国の酒文化

 

中国の酒文化がいつ頃から始まったかは定かではありません。歴史をたどれば、文字のない原始時代、人々が採取した果物が自然に発酵し、たまたま酒のようなものに変わった、というようなことはあったようです。そののち、次第に酒の製法がつくられるようになりました。

中国最古の王朝である夏王朝には、すでに“爵”という名の青銅製の酒器がつくられました。

また、中世の唐王朝は、中国酒文化の発展時期と呼ばれ、特に文人(知識人)の間で酒を題材にとった詩が詠まれました。文人が集う酒席で詩を詠みあうこともあったそうです。

宋代には酒の蒸留法が発明され、“白酒”が誕生しました。以後、“白酒”は中国酒の代表として長く愛されました。

中国には、日本のような居酒屋はほとんどありません。少なくとも中国式の居酒屋は存在しません。日本から輸入した日本式の居酒屋は、大都市にたくさんあります。日本の居酒屋は酒を飲むための場所で、料理はあくまで「酒のつまみ」として食べられます。しかし、中国では食事をするときに酒を飲むのです。したがって、酒を飲む場所は食事をするところ、すなわちレストランになります。大都市には、日本式居酒屋以外に欧米式のバーもありますが、ここは洋酒(ウィスキーやワイン等)を飲むところで、基本的に中国酒は飲みません。大きな酒席(宴席)は、主にホテルの大ホールや、レストランのフロアを貸し切って行われます。

宴席では、頻繁に「乾杯」が行われますが、日本語の「乾杯」と中国語の“干杯”は若干意味が異なります。“干杯”はすなわち「杯を(飲み)干す」という意味なので、全部飲まなければなりません(つまり「一気飲み」)。全部飲めない場合は“随意”(「ご自由に」)と言います。日本人が、中国の宴席で“干杯”とやれば「全部飲め」と言われるでしょうが、最近は無理強いすることはあまりないかもしれません。

また、大きな宴席では、ホストが酒瓶とグラスを持ってテーブルをまわります。ゲストと杯を交わして挨拶するのです。こうすることで、初めて会った人に対して親愛の情を表します。これも中国の大切な酒文化の一面と言えます。

中国の宴席での食事には堅苦しいマナーはありません。唯一の決まりごとは、とにかくみなで自由に食べ、飲み、そしておしゃべりをして大いに楽しむことではないでしょうか。特に、酒を通じて他人とのコミュニケーションをはかること、これこそが中国の酒文化の真髄といえるでしょう。