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【文化篇】 中国料理の世界

一国の文化のなかでも、「食文化」は極めて重要な位置を占めますが、それは中国でも例外ではありません。広大な国土と悠久の歴史を持つ中国には、地域によって実に様々な料理が存在しています。東西南北それぞれの地域に料理の素材、形や味に特徴が有り、それらの特徴が長い歴史を通して完成されてきました。

 

中国料理の歴史

 

文献によれば、中国では5000年以上前に焼肉や焼き魚などの食品(料理)が存在していました。周王朝時代(紀元前1046年頃~紀元前256年)には、周礼に「八珍」という8種類の料理が載っていました。さらに漢代には、湖南省で発掘された「馬王堆」漢墓で見つかった竹簡に100種類の料理が記されていたそうです。

時代が下って、宋王朝の頃になると中国料理の発展は頂点に達し、冷菜、焼き物、煮物、羹ものなど色とりどりの料理が作られるようになりました。特に宋代に入ってから、調理にそれまでの薪に代わってコークス(石炭を乾留したもの)が広く使われるようになり、火力の面でも飛躍的な進化を遂げました。現代に伝えられている中国料理をさかのぼると、宋代に行き着くと言われます。料理だけでなく、陶磁器や絵画など、今日に繋がる文化の源流は宋代にあり、中国の歴史の中で、特に文化的な影響は宋代が最も重要です。

また、元明時代には、南蛮(西洋)から、ジャガイモ、唐辛子、トマトなどの新しい食材が伝来し、中国料理にも盛んに使われるようになりました。特に、唐辛子は現代の料理にも欠かせない食材になっています。

 

中国料理の流派

 

中国料理は、主に下記の“四大菜系”(四大流派)に分類されています。

 

“鲁菜”(山東料理

 

山東省を中心とする料理の流派です。山東省はかつては「斉」と「魯」国が栄えた土地柄で、中国でも最も歴史の古い地域の一つです。さらに、野菜や果物等農業が盛んで、海に面しているため魚介類も豊富に採れるなど、食材の宝庫でもあります。

味付けはしょうゆベースで、煮込み料理の発達したところです。

 

“川菜”(四川料理

 

四川料理は日本でもおなじみになりました。最も有名な料理は「マーボー豆腐」でしょうか。四川は中国の西南に位置する山国で、雨量が多く晴れの日が少ない土地柄です。そのため湿度が高く、四川の人々は辛い食べ物を好んで食べます。四川料理と言えば辛い味付けで有名ですが、調味料は唐辛子だけでなく山椒も使われます。そこから、“麻辣”(辛くて舌が痺れる)という四川料理独特の味付けが生まれました。

 

“粤菜”(広東料理

 

日本で広まった中華料理は広東料理がベースになっているそうで、中国料理の中でも日本人の口に最も合うのが広東料理ではないでしょうか。その本場は“食在广州”いわれる広州と香港です。薄味のやや甘い味付けは広東料理の特長ですが、味の濃い他地域(特に北方)と比べても、その風味は際立っていると言えるでしょう。広東料理の中でも特に素晴らしいのは前菜で、定番メニューには“蜜汁叉烧肉”(チャーシュー)、“烧鹅”(ガチョウの照り焼き)、“白切鸡”(茹で鶏)などが有ります。また、中国料理の珍味といわれる「燕の巣」と「フカひれ」も広東料理のメニューです。

 

“苏(淮扬)菜”(江蘇料理

 

最後の江蘇料理は日本ではあまり知られていませんが、江蘇省、特に長江下流域を中心とする料理です。この地域は昔から「江南地方」とよばれ、「蘇湖(江浙)熟すれば天下足る」といわれた穀倉地帯でも有ります。また、様々な種類の野菜や、長江でとれる川魚、家畜や家禽やも食材として利用できるため、さまざまな料理が発達しました。さらに、この地域は南北朝に始まる、南京や蘇州などの文化都市を抱えているため、古典芸術の発達した地域としても知られています。

その中でも、江蘇料理の中心は“淮扬”(揚州と淮安)で、特に揚州は“扬州菜”(揚州料理)として中国でもよく知られています。江蘇料理のメニューとしては、“盐水虾”(茹で海老)、“蟹粉狮子头”(蟹と豚肉の肉団子)、また“扬州炒饭”(揚州チャーハン)も大変有名です。

 

また、別な分類としては、“闽菜”(福建料理)、“浙菜”(浙江料理)、“湘菜”(湖南料理)、“徽菜”(安徽料理)の4つを加えた“八大菜系”(八大流派)という分類もあります。

その他にも「東北料理」、「朝鮮族の料理」、「モンゴル料理」、「雲南料理」、「新疆ウィグル料理」など、たくさんの種類が有ります。

 

中国料理の代表的なメニュー

 

ここでは、中国でよく食べられている料理のなかで、特に庶民的なものを紹介してみましょう。これらの料理は中国のどんな小さなレストランに行っても食べられるものです。

 

“回锅肉”

 

“回锅肉”は、最近日本でも「ホイコーロー」と呼ばれポピュラーになってきました。元々は四川料理の代表的なメニューの一つです。豚の脂身と野菜(葱、ニラ、ピーマン等)を使い、“豆瓣酱”(唐辛子味噌)で味をつけたかなり辛い料理です。また、脂身を大量の油で炒めたかなり脂っこい料理でもあります。日本の「ホイコーロー」はやや甘めで油も控えめで、日本人の口に合うようににアレンジされたのでしょう。

 

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回锅肉

“木须肉”

 

“木须”とはキクラゲのことで、キクラゲ、豚肉、キュウリ、卵を一緒に炒めた料理です。山東料理の一つで、味付けは塩味ベースに、少々のしょう油で味を調えます。

中国では大変に有名な料理ですが、日本では中華の専門店でないと食べられないかもしれませんが、最近は日本にもすこしづつ浸透してきたようです。

地域によって、野菜はキュウリの代わりに筍や黄花菜(中国野菜の一種)を代用しています。

“木须肉”は、孔子を祭る曲阜の孔廟内のメニューにも記されているそうです。

 

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木须肉

“鱼香肉丝”

 

“鱼香肉丝”は四川料理を代表するメニューで、中国では大変にポピュラーな料理です。「魚」という名前が付いていますが、魚料理ではありません。四川は山国で魚があまり採れないため、豚肉を使って魚に見立てた料理なのです。豚肉とにんじん等の野菜を千切りにして、こちらも“豆瓣酱”を使って炒めたものです。

中国ではどこのレストランでも注文すると出てきますが、日本ではよほどの専門店(特に四川料理)に行かないと出てこないでしょう。

 

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鱼香肉丝

“古老肉”

 

“古老肉”は広東料理の一種で、日本で言う「酢豚」にあたります。広東らしく砂糖を使った甘い味付けでで、なぜかパイナップルが入っています。“古老肉”に近い料理に“糖醋里脊”が有ります。“里脊”とは豚の背肉(ヒレ肉)を指します。こちらは肉だけで、他の素材は入っていません。また、肉を骨付き肉に変えると“糖醋排骨”になります。“排骨”とは骨付き肉(スペアリブ)のことです。

“糖醋”という調理法は他にもあり、魚料理でも使われます。

 

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古老肉

 

以上のように、中国料理は、4000年近い歴史と広大な国土に育まれた、実にバラエティー豊かな料理です。

中国人は「四つ足は机と椅子以外、空を飛ぶものは飛行機以外」は何でも口にすると言われます。それは、食べることに貪欲な民族性のなせるワザでもあるのです。

まさに、「中国文化を知るための入り口の一つが中国料理である」と言っても過言ではないでしょう。