今回の【文法篇】は、比較を表す表現を取り上げます。
中国語の比較表現は、一般的に介詞の“比”を使って表します。
【基本形1】肯定文:「AはBより~です」
A〔主語〕 + “比” + B〔名詞/代名詞〕 + 述語〔形容詞(句)〕
他比我小。
(彼はわたしより若い)
老板比我们忙。
(社長は我々より忙しい)
今天比昨天暖和。
(今日は昨日より暖かい)
介詞“比”を使ってAとBを比較し、その結果を後ろの述語で表します。
その場合、述語には形容詞/形容詞句が置かれます。
しかし、“比”を使った比較表現では、述語に動詞句を使うこともできます。
我比他跑得快。
(私は彼より走るのが速い)
妈妈比我起得早。
(お母さんは私よりはやく起きる)
【基本形2】否定文:「AはBより~ではありません」
“比”の否定形は“没有”を使います。
我的手机没有他的贵。
(僕の携帯は彼のよりも値段が高い)
九州没有北海道冷。
(九州は北海道ほど寒くはない)
※比較表現の否定形には、“不比”という形もありますが、一般にはあまり使われません。語感も異なります。
【基本形3】否疑問文:「AはBより~ですか?」
比較表現の疑問形は、一般に疑問詞の“吗ma”を文末に置きます。
また、“有没有”という反復疑問文の形で表すことも出来ます。
小李比你高吗?
(李君は君より背が高いですか?)
你做的菜比我做的好吃吗?
(君のつくる料理は僕のつくる料理より美味しいかい?)
《学習のポイント》
1.比較結果の程度を表す表現
比較形で比べた結果がどういう違いがあるかを表す語は形容詞の後に置きます。
妹妹比我小三岁。
(妹は私より3歳年下です)
这辆自行车比那辆贵一倍。
(この自転車はあの自転車より倍値段が高い)
这条鱼比那条重二斤。
(この魚はあの魚より1キロ重い)
さらに、比べた結果の差が大きい場合、「AはBよりずっと~」と言うときには、“~得多”または“~多了”を使います。
今天比昨天冷得多。
(今日は昨日よりずっと寒い)
他的能力比我高得多。
(彼の能力は私よりずっと高い)
公司给我们的待遇比以前好多了。
(会社の待遇は以前よりずっと良くなった)
逆に、比べた結果の差が小さい場合、「AはBより少し~」と言うときには、“一点(儿)”または“一些”を使います。
牛肉比猪肉贵一点儿。
(牛肉は豚肉より少し値段が高い)
这座山比那座山高一些。
(この山はあの山より少し高い)
比較形で使える副詞
一部の副詞、“很”、“非常”、“太”、“十分”などは比較形では使われません。これらの副詞は形容詞の程度を強調する働きが有りますが、それはあくまで話者の主観で強調しているにすぎません。比較形は事物を比べることで客観的な程度の差を表すので、意味的にそぐわないのです。例えば、日本語でも「AはBよりとても大きい」という言い方が意味的におかしいことを見ても分かります。
比較表現の中で意味を強調する副詞は、“更”「もっと、いっそう」または“还”「なお、更に」を用いることができます。
这件裙子比那件更好看。
(このスカートはあれよりずっと綺麗です)
上海的房价比大阪还贵。
(上海の不動産価格は大阪よりずっと高い)