アベノ中国語道場

あなたの中国語学習をサポートするブログです。中国語道場で一緒に汗を流しましょう!

【文化篇】 十干十二支(じっかんじゅうにし)

「十干十二支」は、古代中国で作られた暦法上の用語(システム)で、10個の「十干」と12個の「十二支」組み合わせて作られています。このシステムは日本を含む中国の周辺国にも伝えられ、現在も使用されています。日本では、生まれた年の属性を表す「干支(えと)」としておなじみです。

十干は、中国の伝統思想である「陰陽五行説」に基づいています。十干に、五行説の「木(もく)・火(か)・土(つち)・金(こん)・水(みず)」、「陰」と「陽」を当てはめ、10種類の形にしています。それは、十干の訓読みに表されており、例えば「甲」は「木(き)のえ」、「乙」は「木(き)のと」と呼ばれ、「え」は「陽」、「と」は「陰」を表します。すなわち、「五行」×「陰陽」で、10種類の組み合わせとなっています。

 

f:id:zhongtian65:20210404215824j:plain

十天干、十二支

 

十干の日本語と中国語の読み方は下記のようになります(日本語は音読みと訓読みの二通り有ります)。

 

十干

日本語

中文

音読み

訓読み

拼音

コウ

きのえ

jiǎ

オツ

きのと

ヘイ

ひのえ

bǐng

テイ

ひのと

dīng

つちのえ

つちのと

コウ

かのえ

gēng

シン

かのと

xīn

ジン

みずのえ

rén

みずのと

guǐ

  

十二支(じゅうにし)は、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の総称で、十干とともに使われ、年や日の順序を示すために使われ、また単独で、時刻や方角を示すためにも使われました。十干も十二支も、いずれも順番を数えるための数詞です。

年を数える場合は、十干(10進法)と十二支(12進法)を掛け合わせた60通りを一つのサイクルとして使われます。そのため、人の年齢を指す場合は、生まれた年から数えて、60年目で「十干十二支」が一巡するので、60歳の年は「還暦(暦が帰る)」と言われます。

十二支は、ご存じのように現在も人の生まれた年の属性を示す言い方として使われています。その他の使い方、例えば時刻や方角はほとんど使われなくなりました。年齢を示す用法だけが残ったのは、最も身近なものだからかもしれません。

十干は、戦前には、例えば学校の通信簿や、軍隊の徴兵検査(甲種、乙種)などに使われていました。しかし戦後になるとあまり使われなくなりました。

十二支の日本語と中国語の読み方は下記のようになります。

 

十二支

日本語

中文

音読み

訓読み

拼音

ちゅう

うし

chǒu

いん

とら

yín

ぼう

mǎo

しん

たつ

chén

うま

ひつじ

wèi

しん

さる

shēn

ゆう

とり

yǒu

じゅつ

いぬ

がい

hài

 

「十干十二支」の発祥である中国では、古くは殷時代(BC16~BC11頃)にはすでに占いに使われていたと言われます。陰陽五行説が生まれたのは戦国時代だそうで、「十干十二支」の方が時代的に早く、陰陽五行説を「十干十二支」に当てはめたのは、後付けに過ぎないことが分かります。さらに、漢の時代に年に当てはめる用法が始まり、現在に至ります。

自分の年齢を十二支(えと)で言い表す習慣は、本家の中国でも残されています。中国語では、十二支のことを“十二生肖shíèr shēngxiāo”と呼びます。中国語では、日本語のような「〇〇年」とは言わずに、例えば“我属老鼠”(私はネズミ年です)というふうに言います。相手の干支を聞く場合には、

 

A:你今年多大了? (今年いくつになりますか?)

B:三十五。 (35歳です。)

A:属什么的? (何年生まれですか?)

B:属老虎。 (トラ年です。)

 

というふうに聞きます。

 

f:id:zhongtian65:20210404215925j:plain

十二生肖

 

また、歴史的な事件や出来事を言い表す場合にも、十干十二支が使われることがあります。それは、事件が起こった年に当てはまる十干十二支が使われます。

例としては、下記のような事件があります。

 

甲午戦争(1898年):

甲午の年に起こった日清戦争の中国での呼び方。

戊戌変法(1984年):

戊戌の年に起こった革新派政治家による清末の政治改革運動。

辛丑条約(1901年):

辛丑の年に起こった、義和団の乱の処理について清朝政府と9か国の間で締結された条約。

辛亥革命(1911年):

辛亥の年に起こった、孫文率いる革命派による清朝打倒の革命運動、湖北省武漢で始まった(武昌蜂起)。

 

ちなみに、辛亥革命は欧米でも有名ですが、欧米には「十干十二支」が無いので、辛亥革命のことは、英語で“1911 Revplution”(1911年の革命)と呼ばれています。

また、日本でも、幕末に起こった徳川幕府薩長官軍との戦争を「戊辰戦争(1968年)」と呼んでいます。

このように、「十干十二支」は中国とその周辺の国々で、長い間伝えられて来たもので、東アジア特有の習慣と言えます。古代において周辺よりはるかに進んだ中国の文明が、周辺へと伝播した一つの例だと言えるでしょう。

広く東アジア地域に根付いた「十干十二支」は今後も残され、ずっと使われ続けると思われます。